ようこそ、シュガーです。
著者:菊石まれほ / イラスト:野崎つばた
ユア・フォルマIII (3) 電索官エチカと群衆の見た夢
を読みました。
第27回電撃小説大賞《大賞》受賞作品のシリーズ第3弾!
これまで同様、洋画のSFやクライムサスペンスが好きな人にはオススメです。
では内容紹介や感想、レビューを書いていきます。
いつも通り私の個人的な評価です。
謎解きや核心部分のネタバレには気を付けて書いて行きます。
菊石まれほ 野崎つばた ユア・フォルマIII (3)
ユア・フォルマIII (3) 内容紹介 ストーリー あらすじ
過ちと分かってなお手放せない感情には、どんな醜い名がつくだろうか――。
★第27回電撃小説大賞《大賞》受賞のSFクライムドラマ・第3弾★!
――あの日、自分は選択を間違えた。
エチカ自らの意思で抱えた、ハロルドの敬愛規律にまつわる秘密。その重圧からか、電索能力が突如急低下してしまう。
電索官としての復帰が絶望的な状況の中、一般捜査員として新事件の捜査に臨むエチカ。そこで目にしたのは、新たな「天才」と組むハロルドの姿で――。
エチカとハロルドが別々の場所で追うのは、「思考をのぞける人間」を自称するハッカー〈E〉。ネット掲示板に国際刑事警察機構の秘匿事項を次々書き込み、
【真実を追求せよ】とユーザーを扇動する〈E〉の真の標的とは――!?
内容紹介文は電撃文庫ホームページより引用
URL:https://dengekibunko.jp/product/yourforma/322106000006.html
ユア・フォルマIII (3) 感想 レビュー 評価
お気に入り度を100点満点で表すと90点!
ユアフォルマという糸のような情報端末を脳に埋め込むことが主流となった近未来を舞台にしたバディSFクライムドラマ第3巻!
前巻の第2巻で起きた事件を解決する中で、ハロルドの秘密を知ってしまったエチカ。
この秘密はエチカが1人で抱えるには大きすぎるもので、精神状態が不安定になってしまいます。
そんな中で次の事件にあたるエチカとハロルドの2人。
いつもの通り電索をしようと試みるのですが、失敗してしまいます。
エチカの電索能力は著しい低下をみせており、電索官としての業務が出来なくなります。
電索能力の低下は、精神的な影響が大きいと作中で語られ、エチカはハロルドとのバディを解消し、一般の捜査員となります。
一般の捜査員として事件を追いかける中で、ハロルドが新たな電索官ライザとペアを組んでいるのを見かけ、今までにない感情を覚えるエチカ。
そんな精神の不安定な状況で、エチカとハロルドは別々の立場から「思考をのぞける人間」を自称するハッカー〈E〉を追いかけていきます。
お話の概要はこんな感じ。
エチカが知ってしまったハロルドの秘密については、2巻のネタバレになってはいけないのでここでは書きませんが、ハロルドと自分を守るために秘密を抱え込んでいます。
これによってエチカが動揺したり考え込んだりするのが印象的でした。
1巻のころのエチカは、他人とのかかわりを可能な限り避けて、アミクスのことを嫌って、自ら孤独を選ぶような人物でした。
そんなエチカが、ハロルドと関わるようになって、自分以外の存在を信頼したい、守りたいと考えたからこういう状況になっているわけです。
2巻を読んでいる時は、変わっていくのはいい傾向だと思っていましたが、こういう辛さや苦さに繋がるとは予想していませんでした。
また、ずば抜けた電索能力を武器に、捜査局で重宝されていたり、ある程度の自由な振る舞いが許されていたエチカにとって、電索能力の低下と電索が出来ないことは相当のダメージだったと思います。
アイデンティティの消失といっても良いことだと思います。
エチカ自身も、そこにすがって自分を保っていた部分があったと思うので、ここは読むのが苦しかったです。
そんな辛い状況のなかで、ハロルドが新しい電索官と組んで仕事をしている姿を見てしまうわけですから、エチカの胸の内は荒れた海のような感じだったと思います。
暗くてコントロールが効かない、みたいな。
このユアフォルマシリーズは、ままらなさや苦さを強く感じさせてくるので、読むのに気合いが必要になります。
そこがまた良かったりもするんですけど。
エチカはそんな感じでしたが、相棒のハロルドはどうかというと、こちらもまた複雑な思いを抱えていました。
ハロルドは、とある目的のために補助官をやっており、言い方が悪いですが電索官は誰でも良かったと考えているところがありました。
誰とでも合わせて上手く仕事をこなして、人間を動かして、自分の考えた通りに物事を運ぶのが彼の特性でしたから。
ただ、1巻2巻のお話を通してみるに、ハロルドにとってエチカという存在は、おそらく初めての思い通りにいかなかったり、予想外の言動をしたりする人間だったわけです。
この点がハロルドの思考?をかき乱し、別々に仕事をしていてもエチカのことを考えさせるという。
何なんでしょうねこの関係性。
人間とアミクスという違った存在のエチカとハロルド。
恋人ではありませんし、恋愛感情で結びついているようには思えませんし、信頼関係が強固なわけでもないですし、最終的に同じ目的地をめざしているわけでもない。
何で結びついているのかをはっきりとした言葉で表すのが非常に難しいです。
私としては、この2人は「お互いのことを理解したい、理解されたい、お互いの存在に興味がある」のような感情を持っている……みたいな感じなのかな~とボンヤリ考えています。
ライトノベルでこういう、複雑で少しいびつな関係性のタッグはあまり読まない気がするので、新鮮ですね。
海外ドラマ「パーソンオブインタレスト」のメイン登場人物リースとフィンチの関係性に近い感じ。
事件の解決編は「こうなって欲しくないなぁ」と想像していたものが現実になってしまい、なんとも言えない気持ちになりました。
今までの人生で大体500作品くらいは小説を読んできているので、物語の途中で色々な展開を予想しながら読み進めることができるようになっています笑
予想できたからと言って退屈なわけではありませんよ?
序盤中盤で気になっていた表現や描写が、終盤でカチカチとハマっていくようにきれいに物語が流れていくので、読むのが気持ち良かったです。
また、今回は事件の規模が大きくて、ハリウッド映画を見ているような感覚を味わえました。
この作品は、アニメ化も良いですが、ハリウッド映画になったら魅力的に映る気がします。
誰か大金持ちがこの作品を映画にしてくれないですかね?
1巻、2巻に引き続き、無力感や喪失感、苦さ、依存、のような言葉を想わせるようなストーリーでした。
面白いのは間違いありませんが、ビター具合いが強い。
普段味わうことの少ない感情を浴びたい方にはオススメです。
ユア・フォルマ シリーズ感想記事リンク
当ブログで書いているユアフォルマシリーズの感想記事リンクです。
一緒に読んでもらえたら嬉しいです。
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒
ユア・フォルマII (2) 電索官エチカと女王の三つ子
まとめ
電撃文庫から発売されているSFクライムドラマライトノベル 著者:菊石まれほ さん / イラスト:野崎つばた さん の 「ユア・フォルマIII (3) 電索官エチカと群衆の見た夢」を読んだ感想、評価を書いてきました。
繰り返しになりますが、しっかり気合いを入れて読むタイプの作品で、読後感は「哀」とか「切なさ」とか「苦い」とかになります。
間違いなく面白いですが、ポップさやキャッチーさといったものは殆どないです。
私の体感だと、少しだけ大人の読み物という印象です。
普段一般小説を読んでいてライトノベルも読むよ、という方にはちょうどいい気がします。
この記事を読んでいただいてありがとうございました!
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いつも読んでくれている人はありがとうございます。
それじゃあ今日はこの辺で。
バイバイッ!